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医療事故調査制度とは(7) 医療法施行規則改正案公表

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    1 医療法施行規則改正案が公表されました
     今回の医療事故調査制度の創設は,医療法の改正という手続により行われましたが,その医療法の中に,「厚生労働省令で定める」という規定があるため,医療事故に関する具体的な定めが,省令に委ねられた部分があります。
     省令に委ねられた部分は,次の3点です。
     (1) 医療事故調査に関する事項
     (2) センターの指定に関する事項
     (3) その他所要の規定
     最も問題なのは,(1)の医療事故調査に関する事項です。
     この度,省令に委ねられた部分に関して,厚生労働省が「医療法施行規則」という省令案を公表しました。
     そして,4月21日まで,この省令案に対するパブリックコメントを募集しています。
     http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140507 &Mode=0


    2 予期しなかった死亡
     医療事故調査に関する事項のひとつに,医療事故の定義があります。
     具体的には,医療法第6条の10第1項は,当該管理者が当該死亡を予期しなかったものとして省令で定めるものが,「医療事故」であると規定しています(それ以外にも,「提供した医療起因性」の要件もありますが,省略します。)。
     では,予期しなかった死亡とはどんな場合を指すのでしょうか。
     例えば,余命6カ月と宣告された末期のがん患者に,抗がん剤を所定の10倍量投与したために3日後に死亡した場合はどうでしょう。
     この点について,「医療法施行規則」は次のとおり定めています。(わかりやすくするため,文章を省略しています。)
     次のいずれにも該当しないと管理者が認めたもの。
     一 当該医師が,当該死亡が予期されることを,患者等に説明していた
     二 当該医師が,当該死亡が予期されることを,診療録等に記載していた
     三 当該医師が,当該死亡を予期していた
     この一,二,三のいずれかに該当すると管理者が認めた場合には,予期された死亡として,医療事故とは考えない。したがって,センターへの報告は不要であり,当然調査もしなくてよいということになります。
     逆に,上記のいずれにも該当しない場合は,予期しなかった死亡として,センターへの報告が必要であり,調査の開始,遺族への説明が必要となります。

    3 予期の主体と時期
     上記いずれの場合とも,予期の主体は,当該管理者ではなく,当該医師ということになりそうです。
     予期の時期は,当該医療を施す前の時点であることは言うまでもありません。
     したがって,管理者の視点で死亡後に,当該医療が施される前に,当該医師が予期していたかを判断するということになります。
     その判断の資料として,次の3つのうちどれかを根拠にすることになるのです。
     一 患者等への説明
     二 診療録等への記載
     三 当該医師からの事情聴取

     これを,上記の例に当てはめると,抗がん剤の投与で死亡するとの説明や診療録等への記載はないでしょうし,当該医師も致死量の投与の認識がないのですから,上記3つの場合のいずれにも該当しないので,予期せぬ死亡ということになりそうです。

    4 当該医師の死亡予期
     ですが,上記3つの場合のうち,三の当該医師が予期していた場合というのは,それだけを見ると医療事故から除外するのは,いかがなものかと思います。
     遺族としては,死亡した後に,これは予期されていた死亡なのですと言われても,納得はできないでしょう。
     医療安全と医療の質の向上のための制度とはいえ,医師の事後的な意見で,調査対象から外されると,医師の弁解次第で,当該死亡の原因を調査しないことになってしまいます。
     仮に,事前に当該死亡を予期していたのであれば,当該医師は,何故患者本人又は家族にその説明をしなかったのでしょう。また,そのことを診療録に記載することができなかったのでしょうか。患者本人に説明がなされていれば,当該医師が選択しなかった他の医療行為を受ける可能性があったのに,これが失われていますし,あるいは家族との最後の交流を深める機会も奪われてしまいます。
     これでは,医療の質の向上につながらないと思います。
     したがって,予期は客観的な資料に基づいて行われるべきと思います。例外的に,説明も診療録への記載もできない事情がある場合には,当該医師からの事情聴取を資料とすることができるという制度にすべきです。あくまで,三号は,ごく例外的な場合に認められるものであり,説明も記載もない合理的な事情とセットで判断されるものです。

    次回は,「当該死亡の予期」の中味について述べたいと思います。


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    シヨウセイ * 医療事故 * 16:05 * comments(0) * -

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