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医療事故調査制度とは(5) 調査結果の遺族への説明

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    1 センターへの調査結果報告書の提出

     医療法第6条の11第4項は,医療事故の調査結果を「センター」に報告しなければならないと定めています。
     そして,検討中の省令によれば,病院等の管理者は,院内調査結果の報告を行うときは,次の事項を記載した報告書(以下「調査結果報告書」と言います。)を提出して行うものとされています。
      ・医療機関名/所在地/連絡先
      ・日時/場所/診療科
      ・医療機関の管理者
      ・患者情報(性別/年令/病名等)
      ・臨床経過 …客観的事実の経過

    2 遺族への説明

     そして,医療法第6条の11第5項は,上記のセンターへの報告にあたって,あらかじめ遺族に対し,「省令で定める事項」を説明しなければならないと定めています。
     この説明について,大きく2つの問題があります。
      〆独防止策は説明しなければならない事項か。
     ◆\睫世忘櫃靴督敢嵯覯綿鷙霆颪鮓鯢佞垢襪里。
     この点については,医療関係者と患者遺族関係者とで,意見の対立があるようです。
     医療事故調査は,個人や医療機関の責任追及を目的とするものではなく,また,責任追及に利用されてはならないとして,これを過度に強調すると,,皚△眈旦謀になってしまうでしょう。
     果たして,そのようなことでよいのでしょうか。

    3 医療事故調査の目的に立ち返って

     「医療事故調査制度とは(1)」の項で述べましたが,医療事故調査の最終的な目的は,医療の安全医療の質の向上にあります。
     医療事故という,過去のエピソードを,医療の安全と医療の質の向上につなげるためには,単に臨床経過の客観的な事実を伝えるだけでは十分ではありません。
     院内調査が主たる調査方法とされた意義を踏まえ,「当該病院等」でその医療事故が発生した原因が究明されなければならず,「当該病院等」の実情を踏まえて,将来的に取り得る再発防止策を提案することは必須と考えられます。
     また,私は,患者の視点からとなりますが,「当該医療事故」が将来の医療の安全と医療の質の向上に寄与するのですから,その遺族に対する説明責任を果たすことは当然であり,両者は不可分の関係にあると思います。そのような観点から申し上げれば,調査報告書を遺族に交付する必要性は高いと思います。
     ちなみに,本制度に先行して行われてきた,「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」においては,〆独防止策の提案と遺族への説明が行われてきましたし,調査報告書の遺族への交付とこれに基づく説明も実践されてきました。
     院内調査の下においても,公正性や透明性を高め,真の医療安全を図るため,,鉢△砲弔積極的に運用していただきたいと思います。

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    シヨウセイ * 医療事故 * 19:20 * comments(0) * -

    医療事故調査制度とは(4) 解剖や調査の方法は?

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      1 解剖は必ずするのか?

       医療法には,医療事故調査に際して,必ず解剖をするとの記載はありませんし,解剖という文言自体も見られません。
       この点は,医療事故調査制度の施行に係る検討会(以下,単に「検討会」と言います。)における検討事項の中に,次のとおり記載されています。
       病院等管理者は,解剖やAi(死亡時画像診断)を実施するか否かは,その必要性があるかないか,遺族の同意が頂けるか否かを考慮して,決定するものとする。
       要するに,必須ではないということです。
       しかし,医療事故調査制度の目的が,原因究明と再発防止にあり,調査対象が,予期せぬ死亡である以上,臨床経過から明らかな場合は別としても,解剖は是非とも必要な調査であると思われます。
       したがって,解剖を原則とすべきであり,ご遺族の方は,是非解剖に同意して欲しいと思います。
       他方,病院等管理者は,自院で又は支援団体に支援を受けて,解剖を実施するようにするべきでしょう。
       また,病院等管理者は,解剖を原則とするために,解剖が可能な時期までに,センターへの報告,遺族への説明,支援団体への支援要請の手配を「遅滞なく」行う必要があります。
       
      2 Aiでも十分か?

       Ai(Autopsy imaging,オートプシーイメージング)とは,死亡時にCTやMRI画像を撮影して,どこに異常所見があるかを診断することですが,解剖の代わりにならないのではないかといった議論がされています。
       解剖から得られる情報とCTからの情報は,それぞれ異なります。したがって,欲を言えば,解剖もAiも両方行うのが最善でしょう。
       解剖については,遺族の抵抗感がありますが,特に,脳に関しては,抵抗感が強い場合があるようです。
       徹底した原因究明を望まれる場合には,両方をお願いするのがよいでしょう。

      3 遺族からのヒアリング

       医療事故を患者側で扱っていますと,往々にして,遺族の方から,カルテの記載と異なる経過を聞いたり,当該医療従事者の説明と齟齬する場合があります。
       医療従事者も思わぬ死亡を目の当たりにして,記憶が不確かになっている場合もありますから,行われた医療やその後の患者の状態などを見聞した遺族から事情を聴くことは,原因究明や再発防止の役に立つ作業と思われます。
       この点,検討会の検討事項では,「当該医療従事者からのヒアリングは必ず実施」とされていますが,遺族は「その他の関係者からのヒアリング」とだけ記載されています。
       医療事故調査制度は,医療裁判ではありませんから,調査委員会等が,争いのある事実に関して判断することはできないと思います。他方で,原因究明はしなければなりませんから,医療記録を踏まえた経過で判断していかざるを得ないと思いますが,遺族のヒアリングもして,医療従事者に確認することは,勘違いを除外するなどの効果も期待できるのですから,是非実施してもらいたいと思います。

      4 調査期間

       医療事故調査の期間については,検討会の検討事項では,目安としての期間を示す方針があるようですが,何カ月と言う点は確定していません。
       日本医療法人協会が参考に示した期間は,「2ヶ月程度以内」としています。
       遺族としては,早い方がよいとは思いますが,拙速では意味がありませんから,ケースに応じて,3か月から6ヶ月程度で説明を受けたいところでしょう。

      次回は,調査結果の説明と報告書の交付について話します。
       
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      シヨウセイ * 医療事故 * 10:27 * comments(0) * -

      医療事故調査制度とは(3) 調査は誰がするのか?

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        1 調査の主体は?

         医療事故調査制度において,医療事故の調査を行うのは誰でしょうか。
         これまで,何度も名前の出ている「医療事故調査・支援センター」(以下単に「センター」と言います。)が行うのかというと必ずしもそうではないようです。
         医療法にはどのような記載があるかと言いますと
         第6条の11第1項 病院等管理者は,医療事故が発生した場合,医療事故調査を行わなければならない
         第6条の17第1項 センターは,病院等管理者又は遺族から依頼があったときは,必要な調査を行うことができる
        とあります。
         したがって,病院等等管理者は,調査を行う義務があるので,通常は,院内調査が行われます。
         しかし,‐規模な診療所などで院内調査ができる体制にない場合に管理者から依頼するような場合,院内調査に納得ができない遺族から依頼するような場合には,「センター」の調査が行われる建前となっています。

        2 院内調査の主体のあり方

         通常は,院内調査が行われるとしても,その調査を具体的に実施するのは誰でしょう。
         病院管理者が一人で,あるいは,当該医療行為者と二人で,それとも,これらに知り合いの医師を含めて調査する可能性もありますが,そのような体制では,調査結果の公正さや中立性に疑念が残ってしまいます。
         そこで,医療法では,院内調査は,「厚生労働省令で定めるところにより」行わなければならないとしています。
         そして,具体的な内容は,現在,「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で議論がなされています。しかし,この記事を書いている時点では,取り纏めができていません。
         院内調査の主体に関しては,例えば,複数のメンバーで構成する合議体で調査するのか,そのメンバーに誰を加え,誰を加えないようにするのか,などが問題となりますが,検討会では論点とされていません。
         患者の視点から言えば,航空・鉄道事故調査委員会(現在の運輸安全委員会)の調査のイメージを抱くのではないでしょうか。とすれば,合議体で,当該事故関係者とは関係のない第三者の専門家で構成されている委員会方式が望まれるところでしょう。

        3 医療事故調査等支援団体

         医療法第6条の11第2,3項では,上述のとおり,院内調査を基本としているため,中小の医療機関では,原因究明のために必要な専門家が院内にいない場合などに,医学上の支援をを受けられる,医学医術に関する学術団体等(以下,「支援団体」と言います)の支援制度を設けています。
         管理者等は,調査においてこれらの支援を求めるものとされ,他方,医療事故調査支援団体は必要な支援を行うものとされています。
         ただ,この支援団体の案の中には,日本医師会や都道府県医師会なども含まれており,これらの団体が医療事故の損害賠償責任保険関連の事業もされていることから,支援団体として関与するときの公正さや中立性に疑念が生じないような手当が必要であると思われます。

        4 センター

         上述のとおり,センターも,第2次的には,調査の主体となる場合があります。
         患者の視点からは,医療版の事故調の創設が期待されてきたのですが,マンパワーや予算の問題,それに制度創設の妥協的産物として,院内調査が第1次的に行われ,センターの調査が第2次的となってものと思われますので,できるだけ,本来の姿を実現するため,センターには,院内調査の事後的検証に留まらず,院内調査に代わって自ら調査を実施していただきたいと思います。
         そのためにも,地方組織の充実,解剖医の確保,人的体制の整備を図っていってもらいたいと思います。

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